教壇と愛の狭間で~誰も知らない物語~
村井涼太先生。
あたしが通っていた塾に勤めていた人。
そして、ずっと片想いしていた人。
「久しぶりだな」
彼は1年前と変わらない涼しい笑みを浮かべる。
「お久しぶりですね」
その後に何か言いたいのだけど、いい言葉が思いつかない。
しかし、村井先生が先に言葉を発してくれた。
「学校帰り?」
「ええ、まぁ…」
あたしはそう言いながら、ゲーム売り場にいるスーツ姿の男性に目をやった。
スーツ姿の男性とはもちろん森田先生だ。
実は今いる雑貨屋からゲーム売り場はわりと近い。
村井先生は森田先生を見て言った。
「ふーん、デートってやつか」
あたしの顔は赤く染まる。
「先生はデートじゃないんですか?」
「デートだよ。さっきまで彼女といたしね」
そうだよね。
先生だって年頃の人間なんだから。
心の中でうなずく。
「でも…」
村井先生はあたしを見る。
見つめられて顔の赤みが増した気がする。
「いや、お前も積極的になったと思って。塾にいた頃おとなしかっただろ?」
確かにそうだけど。
「俺もお前も…変わったな」
切なげな声。
どうしてそんな声になるの?
ねぇ、村井先生。
前は指一本触れようとしなかったあなたは今、どうしてあたしの頭を撫でてくれるの?
あたしが通っていた塾に勤めていた人。
そして、ずっと片想いしていた人。
「久しぶりだな」
彼は1年前と変わらない涼しい笑みを浮かべる。
「お久しぶりですね」
その後に何か言いたいのだけど、いい言葉が思いつかない。
しかし、村井先生が先に言葉を発してくれた。
「学校帰り?」
「ええ、まぁ…」
あたしはそう言いながら、ゲーム売り場にいるスーツ姿の男性に目をやった。
スーツ姿の男性とはもちろん森田先生だ。
実は今いる雑貨屋からゲーム売り場はわりと近い。
村井先生は森田先生を見て言った。
「ふーん、デートってやつか」
あたしの顔は赤く染まる。
「先生はデートじゃないんですか?」
「デートだよ。さっきまで彼女といたしね」
そうだよね。
先生だって年頃の人間なんだから。
心の中でうなずく。
「でも…」
村井先生はあたしを見る。
見つめられて顔の赤みが増した気がする。
「いや、お前も積極的になったと思って。塾にいた頃おとなしかっただろ?」
確かにそうだけど。
「俺もお前も…変わったな」
切なげな声。
どうしてそんな声になるの?
ねぇ、村井先生。
前は指一本触れようとしなかったあなたは今、どうしてあたしの頭を撫でてくれるの?