コンプレックス*ラヴァー
“姫”ねぇ……
そっと入り口を振り返って見れば、彼女とばっちり目が合って。
にこーっと微笑みかけられてしまった。
……うわっ。これは結構効くかも。
「ほら、見てみろよ?
あの愛らしい笑顔!アイツらだってあんなに鼻の下伸ばして……」
カズヤの指し示す先には、だらしなく弛んだ顔で彼女を見ているクラスの男共。
なんか、汚らわしく見えるのは気のせい?
「ちっちゃくてふわふわで、お目くりくりの“小動物”って感じだろ?あーいうタイプに弱い男が意外に多いわけよ。」
……確かに。
特に、年上とか…マニアっぽいのに好かれそう。
だて、なんかこう…『美少女ゲーム』から抜け出してきた、って感じだもんな。
「まさか、新ちゃんを好きだったとはねぇ…」
ほぉっとため息をつくカズヤ。
なんか、重ね重ね失礼じゅないか?
「こりゃ、断るわけにはいかないよねぇ。」
「……は?」
「万が一、そんなことしたら…あの子のファンに殺されるよ?それに……」