コンプレックス*ラヴァー
みんなの輪の中でにこにこ笑う彼女を見ていたら、
徐々に蘇ってきた、昼間の記憶――
………………
………
「私の“王子様”になってくださいっ!」
呼び出されて。
ふたりきりになって。
律儀に自己紹介なんかされちゃって。
今日は2年生か…なんてぼんやり思ったとき、だ。
彼女の口から飛び出したのは、初めて聞く言葉。
当然、すぐに理解することなんてできなくて……
「……はっ?」
まぬけな声で聞き返してしまった俺。
「お…王子っ?」
そんな俺を気にすることもなく、
「ハイっ!先輩のことずっと見てました。好きなんです。だから…王子様になってください。」
笑顔で続ける彼女。
“好き”?
“ずっと見てた”?
……誰を?って“俺”?
えーっ??
「……え?えーと…それってどういう意味?」
これは“告白”?
この時点で、俺の頭は働かなくなっていたんだと思う。
「どういう、って……そのままの意味です。」