コンプレックス*ラヴァー
02*桜色のキス
――いつもの朝。
学校に着いて。
教室に入るまでに、あちこちで声をかけられる。
友達はもちろんだけど、たいていは知らない女の子で……
“今日の何時にどこどこで”みたいなやつ。
もちろん、“俺に”じゃなくて“アイツに”気がある子たち。
まぁ、朝っぱらから呼び出されたり、なんだかんだ押し付けられたりするよりはアポを取ってくれるだけマシだけどさ。
入学したときから…いや、中学に入ったあたりからかな?
もうずっと変わらない。
春になろうが
学年が変わろうが
俺に彼女ができようが
……って、
そうだ。
代わり映えのしない朝だけど、昨日までとは大きく違うことが……
「先輩ってば、朝から人気者ですねぇ。」
俺の隣で、感心したように呟く女の子。
つながれた手。
異様に近い距離。
向けられる笑顔。
他の子とは明らかに違う、この子は……
「でも、先輩は私の“王子様”なんですからね?そこのところは忘れないでくださいね?」
俺の“彼女”……らしい。