コンプレックス*ラヴァー
「これって、本当に“つき合ってる”のかな?」
『……はっ?』
ぼんやりと呟いた俺の言葉に、意外にもすぐに反応した2人。
しかもハモってるし。
振り返った奴らから視線を反らして、俺は続けた。
「何かの“間違い”じゃないのかな?」
盛り上がって、勝手な解釈をしちゃっただけじゃないのか?
だって……
考えたら、俺は「王子様になってほしい」って言われただけで、
「つき合ってほしい」とも「彼氏になってほしい」とも言われてないんだよ?
そもそも、“王子様”って何?
何をする人?
何をすればいいわけ?
遠回しに、何かを頼まれただけなんじゃ……
「実は昨夜さ、ずっと…寝ないで考えてたんだけど、」
「寝ないで?そりゃ、ご苦労様…ってか、随分余裕じゃん?お前、今日の英語当たるのに。」
「……えっ??」
「新ちゃん、確か数学もだよね?」
「うそっ?」
……って。
人が真剣に話してるのに、コイツらは…ったく。
「とにかく、あの子が俺を“好き”とかありえないんだよ。」