コンプレックス*ラヴァー
「……またかよ。」
それを見るなり、心底イヤそうに顔をしかめた慎也。
差し出した紙袋の中には、ぎっしり詰まった手紙たち。
これでも、最近はだいぶ減ってきたと思う。
新入生がだいぶ落ち着いてきたしな。
「……どうも。」
大きくため息をつきつつも、慎也は俺の手からそれを受け取った。
何だかんだ言っても、慎也が拒否ることはない。
こう見えて、意外に律儀だから。
この後どうしてるのかはわからないけど……
だからさ、みんな直接渡しゃいいんだよ。
思いっきり不機嫌そうにされるけど、ちゃんと受け取ってくれるんだからさ。
俺だって、毎回毎回呼び出されるのは正直しんどいし。
しかも、今は“彼女”だっているわけで。
“彼氏”が他の女の子と2人っきりになる…くるみの気持ちを考えてやってほしいものだ。
……いや、くるみは全く気にしてないか。
「じゃあ、俺はこれで……」
長居は無用。
用事も済んだし、さっさと帰ろうと踵を返した俺。
でも……
「お前、彼女できたんだってな?」