コンプレックス*ラヴァー
「おっ、新一!
ラブラブタイムは終わったのか?」
教室に戻ると、にやにや顔のモトキのお出迎え。
……コイツはっ。
「いいよなぁ、おまえは。
“彼女”から糖分補給できるから、甘いものなんて必要ないだろ?」
言いながら、忌々しそうにモトキが口にしているのはあんぱんで。
「俺なんかほら。自分で摂取するしかないからさぁ。嫌いなものでも我慢して食べなきゃいけないんだよ。」
最もらしく言ってるけど……
それは単に、購買に出遅れて、それしか買えなかっただけだろ?
馬鹿馬鹿しい。
って言うか、いいよなー、コイツは。平和で、さ。
まぁ、俺も人のことは言えないけど……
唇に残る感触。
さっきの余韻に浸りながら思わず顔が綻んだ。
そんな、とき。
「新ちゃん、ちょっといい?」
ふいに現れたカズヤ。
あー、そっか。
今日は久しぶりにアキちゃんとお昼とか言ってたよな。
でもなんで、そんな神妙な顔してんの?
「あのさ、さっきアキから聞いたんだけど……」