コンプレックス*ラヴァー



くるみのことを疑うわけじゃないけど……



実際に、そういうことが今までに何度かあった。


高校に入ってからは、さすがになくなったけど。


小学校高学年あたりから、中学の3年間。


俺に近づいてくる女の子の大半は、慎也目当て。


幼いからこその手段。
無邪気だから、できること。


それが見え見えの子は、
逆にマシなくらいだった。


普通に仲良くなって、淡い感情を抱いていた女の子。


“好き”まではいかなくても、大事な友達だと思っていた女の子。


そういう子が、実は俺を“利用していただけだった”って知ったとき。


そのショックは、さすがに大きくて。

幼いながらも、深く深く傷ついた。


その子が悪い?
慎也が悪い?

いや……
気づかなかった俺が悪い。


勝手に期待して、
勝手に勘違いした俺が悪い。


だから、
もう諦めることにした。


慎也がいる限り、
俺は見てもらえない。

俺には恋はできない。

慎也を知っている女の子には、余計な感情を抱いたらいけない。


そう決めて、やって来た。


……はずだったのに。


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