コンプレックス*ラヴァー
「……えっ」
一瞬にして、彼女の顔が不安気に歪んだ。
いや…、そんな瞳で見られてもね。
そこまで俺に求められても困るから。
別に、好きでやってるわけじゃないんだから…さ。
「それじゃ…」
多少の罪悪感を感じつつも、俺はその場を後にした。
おそらく報われることはないであろう、想いの詰まった塊を手にして。
……これが、いつもの俺。
“呼び出されて、告白される”
日々繰り返されるシチュエーション。
休み時間、昼休み、放課後……
俺の都合なんてお構い無しに、次から次へとやって来る女の子。
今みたいに本気モードな子もいれば、
ファンって言うか、ミーハー心で寄ってくる子もたくさんいる。
いちいち相手にしていたらキリがないのはわかってる。
でも……
自分のことじゃないからこそ、ムゲに扱うことはできないって言うか……
告白されるのは“俺”じゃない、から。