隣に住んでいるのは先生で……。



あれから、先生が私の我が儘を聞いてくれてしばらく抱きしめてくれた。



まるで、私を安心させるように………。






本当は先生が来たときから、とっくにテストの緊張は溶けてたというのに………。



そのことに気づかない先生はエレベーターの中でも、車の中でも、ずっと手を繋いでくれた………。


その間、私達は何も話さなかった………。



いいや………言葉がいらなかったんだ。



先生の掌からは心地好い温かさを感じて、できればずっと手を繋いでいたいと思った。



そして、私は自分の指と先生の指を自然と絡ませていた。



いわゆる「恋人繋ぎ」と言われるもの。



先生は私の行動に少し焦ったように見えたが、少しも嫌がらずに手を繋いだままで前を向いていた。






そして、私が少し強く握り返すと先生も強く握り返えしてくれた。



不覚にも、いつか堂々と先生とこういう風に手を繋いで、恋人のように歩いてみたいと思った。



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