隣に住んでいるのは先生で……。



「………ありがとう」



突然、先生の口から思いがけない言葉が聞こえた。


「綾子が居てくれなかったら、ここにこんなにも居られなかった。もしかして、来ることさえ儘ならなかったかもしれない」



先生が私の顔を真剣に見て、こんなことを言ってくれる。



そして、先生は私に微笑んでくれた。



その先生の顔は夕日に照らされていたせいか、いつもより輝いて見えた。



大好きな先生がこんなにも笑顔で私の隣に居てくれる。



なんて、幸せなことなんだろう………。






好きな人が、こんなにも笑顔で笑ってくれるということが………



幸せなことだって………。


私はこの時初めて知った。


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