隣に住んでいるのは先生で……。
もう、沈んでしまった夕日の方をずっと二人で見ていた。
人の姿はもう見られなくなった。
聞こえるのは、海から聞こえる波の音ぐらい。
そして、私は二人の沈黙を破るように、先生に話しかけた。
「………先生」
「………何だ」
「また、私をここに連れて来てくれますか………?」
すると、少し間が空いた。
その間、私はずっと先生が何て言ってくれるかドキドキしていた。
そして、先生の手が突然私の手を握った。
えっ………!?
そう思い、私は直ぐに先生を見上げた。
でも、先生は私を見ずに前を向いたまま言った。
「ああ、必ず………。綾子と来て良かった」
その言葉を聞いて私は思った。
先生からのご褒美はこの夕日が見える素敵な景色だと思っていた。
でも、違った。
本当は、先生が私にくれたこの一言が最高のご褒美なんだって思った。
そして、私は返事をするかのように握っていた手を強く握り返した。