隣に住んでいるのは先生で……。
今まで、先生はどういう気持ちで私を待っていたんだろう………。
ごめんね、先生………。
先生のせいじゃないのに………。
それに、私はさっきの話を思い出した。
だから、私は先生に言わなきゃ………。
もし、事故の後遺症で先生の気持ちまで苦しめていたなら言わなきゃ………。
「先生………もし、私に同情して付き合っているなら、私と別れて下さい」
私は突き放すような言い方をした。
「綾子は俺がどれだけお前に惚れてるか知らないんだな」
「えっ………」
「本当は俺から離れる勇気なんてないくせに………」
そう言って、優しく抱きしめてくれた。
私の心は先生にとっくに見透かされていたみたいだ………。
「確かに最初は綾子を幼なじみだとしか思ってなかった。でも、綾子が事故で記憶喪失になり、綾子の記憶から俺の存在が消えた時、初めて分かったんだ。綾子が好きだって」
「………ありがとう」
私は涙ぐんだ声で言った。
「あの時から俺の気持ちは変わってない。これからは俺が守る。もう失いたくはないから………」
あぁ………私は馬鹿だ。
こんなにも傍で見守ってくれていた人を信じないなんて………。
ごめんね………。
先生から離れられる勇気なんて、何一つないのに………。