親友ときどき上司~熱風注意報~
「子猫…?」
どうやらそれが自分の事だと察した瑞希は、隣に立つ荘司を睨む。
ペットでも良いと思ったが、実際にペット扱いされると複雑な気分だ。
「YES。子猫を保護したから泊められない。確かそうだったわよネ?」
所々調子外れの透子の日本語は、かなり流暢な部類だ。
言葉遣いが荘司と同じな事も妙な親近感が湧く。
「そう言っておけば動物嫌いのアンタは来ないと思ったのよ。」
面倒そうに言う荘司は、何故か瑞希に向かって眉を下げた。
言い訳をしているらしい荘司の意外な姿に、瑞希は目を見開く。
「騙されるわけないデショ。」
「で、腹を立てて瑞希にちょっかいだしたの?変な誤解させないでよ。」
「あっ、ルスデン聞いたんだ。泣いちゃった?」
瑞希の頬に伸びて来た透子の手を、荘司がピシリと叩き落とす。
「急に来日するって言うから、父さんに連絡したら、とっくに飛行機乗った後だし、アンタはなんでいつも急なのよ。」