親友ときどき上司~熱風注意報~
「えっ?荘司?」
「うるさい。こっち見ないで。」
視界を塞ぐように、荘司の胸へ頭を押し付けられる。
「ミズキ、こんな素直じゃないロクデナシはやめたら?アタシに奪われてみない?さっきの声も可愛かったし。ネ?」
何だか色々とデジャヴな発言をする透子は、再び瑞希の髪に触れ荘司にピシリと払いのけられる。
「だから透子に瑞希を会わせるのは嫌だったのよ…」
逞しい胸に顔を押し付けられたまま聞こえた言葉と溜息に、瑞希はやっと結論を出せる。
「そ、荘司?荘司って…」
「ゲイじゃないわよ。」
瑞希が疑惑を口にする前に、荘司は不機嫌な声で答えをくれた。
「ナニそれっ!アンタ達どれ程コンガラガッテるの?」
声を上げて笑い出した透子に、瑞希は肩を落とす。
それ程、可笑しな勘違いをしていた自分が恥ずかしい。
でも、その事実は嬉しくもあった。
「じゃ、私が荘司を好きになっても良いんだ。」
独り言のように呟いた瑞希に、頭上から不機嫌な溜息が聞こえた。