親友ときどき上司~熱風注意報~


「暢気ね。この男女見境のない女に取って喰われたいの?」

「姉に向かって失礼ネ。アタシは愛さえあれば性別なんて関係ないだけヨ。」

 あっさりとカミングアウトする透子に驚きながらも、堂々と近付いて来るブラウンの瞳に瑞希は微笑んだ。

「仲の良い姉弟ですね。私一人っ子だから羨ましいです。」

 素直に言った瑞希に、荘司と透子はそっくりな驚いた顔をした。

 すぐに2人の顔が不機嫌になるのもそっくりで、瑞希はますます笑う。

「本気で欲しくなったワ。」

「勘弁して。」

 姉弟が言葉少なに短い会話で全てを分かり合った雰囲気に、瑞希は本気で羨ましく思った。

 ふわりと瑞希の髪を梳いた透子を、荘司は黙って舌打ちをして見つめる。


「ところで、何でミズキはこんなにビンカンなの?」

「やぁっ、んっ…!と、透子さんっ!」

 髪に触れながら、背中を触られ変な声が漏れた瑞希は、透子の手から逃れようと荘司に身を寄せた。

 少し前に荘司が残した火種がくすぶる。
 
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