親友ときどき上司~熱風注意報~
「瑞希、大丈夫?」
日頃の瑞希と違う様子に、荘司の声が優しく問いかける。
「…なんか、意外と堪えてるみたい。」
ツルンとした額をグリグリと机に押し付ける瑞希は、チラリと荘司を見上げて溜め息を吐いた。
何に堪えているのかは瑞希自身よく分からない。
彼の友達とのセックスの強要なのか、自分に対する自己嫌悪なのか、おそらく両方なのだろうが、どこかスッキリしないのは、彼との終わり方がはっきりした決別じゃないからかもしれない。
「忘れなさい。そんなロクデナシ。電話もメールも無視するのよ。」
忠告しながら瑞希の頭を撫でた荘司の手は、余りにも暖かかった。
不覚にも泣きそうになった瑞希は、更に額をグリグリ机に押し付ける。
「禿げるわよ。」
大きな手が瑞希の頭を押さえて止めさせる。
「荘司ぃ、明日のお弁当はケーキがいい。」
「太る気?」