親友ときどき上司~熱風注意報~


「瑞希、はしたない声出さない。」

 不機嫌に言った荘司を、瑞希は睨み上げる。

 真っ赤な顔で見あげた荘司は、呆れたように溜息を吐いた。

 これじゃ、私が淫乱みたいじゃない!

「恥ずかしがるコトないじゃないノ。ビンカンな体なんて素敵ヨ?…もっと虐めたくなるケド。」

「やっ、違っ!んッ!」

 背中からウエストへ厭らしく動く透子の指に、瑞希は荘司のYシャツの胸元を握り締める。


「それくらいで止めて。アンタが乗り込んで来たから途中だったのよ。」

 分かっていて意地悪をしたらしい荘司に、瑞希は両手で顔を覆った。

 それはそれで、何かイヤ!

 誰にでも感じると誤解されるのも嫌だが、荘司を欲しがって欲求不満みたいな言い方は恥ずかしすぎる。

 自覚があるだけに余計に恥ずかしい。


「ああ、そうゆう事ネ。普段からこんなにビンカンだとニチジョー生活できなさそうだものネ。」

「さっさと、ホテル行って。」

「ハイハイ。しばらく日本にいるカラ。ミズキ、荘司に苛められたら言ってネ。アタシが火炙りにしてアゲル。」

「…さっさと帰国して。」

 朗らかに笑う透子に、荘司は心底嫌そうにブロンドの髪をかきあげた。



 
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