親友ときどき上司~熱風注意報~
親友with葛藤~困惑と欲望~
怒りを露わにリビングの扉を閉めて出て行った瑞希を、荘司は珍しく呆けた顔で見送った。
「何、怒ってんのよ?」
呟いた言葉は瑞希には聞こえない。
それでも瑞希が何に怒っているのか何となく理解すると、意外そうに瑞希の消えた方を見やった荘司は癖のあるブロンドの髪を片手で掻き毟った。
ただでさえ、抑えの利かなくなっている理性をわざわざ煽る瑞希を恨めしく思う反面、そんな瑞希が可愛くて仕方のない荘司は、大きな溜息を吐くと腹を括った。
加減出来るだろうか?
散々待たされた自分の欲望を今、瑞希にぶつけるのは得策じゃないと分かっている。
しかし、側にいれば手を出してしまうだろう事も分かっていた。
透子の事を誤解した瑞希の嫉妬が可愛くて、思わず瑞希を辱めてしまった自分を思い出し肩を竦めた。
あのまま、透子が来なければ間違いなく瑞希を抱いていた。
昨日、あの男とあんな事があったばかりの瑞希を、手加減なしで抱いていただろう。