親友ときどき上司~熱風注意報~


 黒いナイトウェアのガウンは足首まで瑞希の華奢な体を包んでいるように見えた。

 自分の理性を全く信用していない荘司は、露出の少ない貞淑な姿に胸を撫で下ろしたが、歩を進めた瑞希に頭を抱えてしゃがみ込みそうになる。

 ちっと舌打ちしてこのナイトウェアを手渡したであろう人物を思い浮かべる。

 同時に、荘司の為に着たのにねと言った憎たらしい姉の顔も思い浮かび、逃げるようにキッチンに入った。



 真っ白な足をガウンの合わせ目から覗かせて歩く姿は、その下が心許ない程短いキャミソールだと物語る。

 思い当たる自社ブランドのそのデザインに、荘司は肩を落として嘆息した。

 例えガッチガチの鎧を身に纏おうが、それが瑞希なら欲情する自信がある。
 瑞希に触れてしまえば着ているものなど意味を持たない。

 分かってはいるが、わざわざ煽る格好をする瑞希が、可愛くもあり憎たらしい。


 何の拷問よ。

 カウンターテーブルの近くに立つ瑞希が、どうだと言わんばかりの顔で荘司を睨む。

 その顔が羞恥に赤く染まるのを、荘司は苦笑いで肩を竦めた。
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