親友ときどき上司~熱風注意報~
親友vs狂犬~変化と危機~
「おい、起きろ。タクシー来たぞ。」
どれくらい時間がたったのだろう。
いつの間にか眠っていた瑞希は、荘司の胸の中で薄く目を開けた。
寄りかかるように荘司にもたれて、パチパチと何度か瞬いてカウンター席からガバリと立ち上がる。
「ごめん。私寝てた?」
自分の醜態に驚愕して慌てる。
頭はかなりスッキリしていたが、体はまだフワフワとしていて、立ち上がった自分の体がユラリと揺れた。
「ばかっ!転ぶわよ。」
瑞希の腰に慌てて腕を回して軽々と引き寄せた荘司が、本気で焦った声をあげた事に、なぜか瑞希まで、しまったと息を飲む。
一瞬の間の後、2人同時に苦笑いを浮かべる。
「勘弁してくれ。酔っ払い。」
瑞希をしっかり抱え直して取り繕った荘司は、騒がしい店内を確認するように見た後、店の外へ連れ出した。