親友ときどき上司~熱風注意報~
「セーフ!か、な?」
ケラケラ笑って言うと、整った目元を薄く細めた荘司に軽く睨まれる。
「全く、こっちが身を滅ぼしかねないわ。」
そのくせ、さほど気にしていない様子の荘司に、親友が言葉遣いを昔程には隠そうとはしていない事を知る。
2人でタクシーに揺られている間、会話はなかった。
車の振動に再びユラユラする瑞希を抱き込むように支える荘司。その厚い胸板に、素直に寄りかかる。
体をすっぽり包み込む逞しい体は、かなり前から瑞希の精神安定剤の役割を果たしていた。
それに気付いているらしい荘司は、何も言わずに毎回甘やかしてくれている。
本当、成長しないなぁ―――
自分の不甲斐なさに、小さく溜め息が零れた。
その小さな吐息に、ほんの僅かに逞しい腕に力が込められた。
何だかんだ世話を焼き、瑞希を甘やかす親友に、瑞希は体を預け、
もう大丈夫―――
と、素直に思えた。