親友ときどき上司~熱風注意報~
瑞希を見て、瑞希の腰に手を回す荘司を見て、隼人の笑顔がスッと消える。
「狂犬登場。」
その変化に更にボソボソ言う荘司に、瑞希はまた吹き出しそうになる。
思わず見上げた荘司の顔は、予想を裏切る程の険悪な眼差しで隼人を見据えていた。
腰に回された腕が、瑞希の体を引き寄せ、逞しい胸の中へ抱き込まれる。
「荘司?」
胸元から見上げる荘司の顔が無表情で怖い。
「瑞希っ!そいつ…」
じっと荘司に見据えられた隼人がたじろくのが気配で分かる。
「別れたんでしょ?瑞希に何の用?」
今度は隼人に向かって言う荘司の言葉遣いは、完全にプライベートなものだった。
こんな状況なのに、やっぱり荘司は昔程には言葉遣いを隠そうとはしていないな、と考える。
この容姿でこの話し方だと、余計に凄みが増すけど。