親友ときどき上司~熱風注意報~


 その日のうちに、名刺に印刷されたメールアドレスに連絡が来た。

 何度かやり取りをするうちに、瑞希の方からプライベートの携帯番号とメールアドレスを教えた。

 瑞希より5歳年下の彼は、都合よく瑞希に甘え、都合よく瑞希を抱いた。

 そして、都合よく瑞希を友達に抱かせようとしたのだ。


 年上で収入も多い。

 甘え上手な年下の彼。

 必然的に金銭面は瑞樹が負担する事が多かった。

 寧ろ、そうやって素直に甘えてくれる彼が可愛かったのだ。

 薄々、自分が都合のいい女だと気付いていながらも、仕事で忙しい毎日の瑞希にとって、彼との時間は金には換えられない安らぎだった。

 この関係に多少の疑問と不安があっても、瑞希は目を瞑る事でやり過ごして来たのだ。

 彼が好きだったから。


 だから、友達に抱かれろと言う彼の要求は飲めない。当たり前だ。


 そんな当たり前の拒否に、彼は酷く怒ったのだった。

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