親友ときどき上司~熱風注意報~


 赤い痣は明日には薄くなっているだろうか。

 頬に指を滑らせて、荘司は溜め息を吐いた。


「…んっ、…そう、じ…」

 身じろいだ瑞希に、起こしてしまったかとその顔を覗き込んだ荘司は、息を止めた。

 頬に伸ばしていた荘司の指に唇を寄せた瑞希は、眠りの中に落ちたまま。

 ポヤッと開いた唇が、いつものそれより腫れぼったい。

「…ん、はぁ…」

 妙に艶めかしい溜め息を吐く瑞希に、荘司は慌てたように手を引いた。

 腫れぼったい唇は、荘司が我を忘れた証。

 瑞希の可愛らしい姿を思い出して、頬が弛む。


「もう、瑞希の気持ちを待っててあげられそうにないのよ。」

 荘司のキスであんなに乱れた瑞希に、期待するなと言うのは無理な話だ。

 このまま襲ってしまいそうになる欲求を押さえ込んだ荘司に、

「…荘司は…なん、で…ゲイな、の…」

と、瑞希の寝言。
 眉間の皺を寄せた荘司は、呆れたように小さく笑った。

「…ゲイだった記憶はないんだけど…」


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