親友ときどき上司~熱風注意報~


 起きあがろうとして、どこに手を付いて良いものか、と眉を下げた。

 荘司の逞しい胸に抱かれるように乗っている瑞希の体は、同じ逞しい腕にしっかり抱き締められている。

 荘司の右の太ももに跨るように乗っている自分の体に、冷や汗が浮かぶ。

 全体重で乗っているに等しい体勢に、恥ずかしいやら申し訳ないやらで何とか体を退けようとするが、しっかり抱かれている腕はピクリともしない。


「…瑞希?…起きたの?」

 もぞもぞする瑞希に、寝起きで掠れた荘司の声がした。

「あっ、荘司。重いよね?すぐ退くから…」

「…まだ、早い。もう少し寝かせて…」

 退こうとする瑞希の声が聞こえていないのか、荘司は再び規則正しい寝息を立て始めた。

 しっかり瑞希を抱き締めて。

 この状態で寝るの?寝れるの?私は無理―――







 
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