親友ときどき上司~熱風注意報~


 次に起きた時は、瑞希の下にも隣にも荘司はいなかった。


 結局、あのまま再び二度寝した瑞希は、我ながら呆れた。

 荘司が寝てからも、どうにか体制を変えようと試みたが、そうしているうちに、荘司の手がトントンと子供の寝かしつけのようにリズムを刻み、あっさりと寝かしつけされてしまった。


「…子供かぁ。」

 そう、まるで子供だ。

 あんな体勢。

 寝起きの荘司の声。


 ドキドキしたのは自分だけ―――


 やっぱり荘司は、女である瑞希にドキドキする事はないのだろう。

 チクチクと胸が痛かった。

 その痛みに気付かないふりして、ベッドを降りた瑞希は、荘司を探す。

 もう、起きているのだろう。リビングの方からコーヒーの香りに混じって、何かを洗っているのか炊事の音。



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