親友ときどき上司~熱風注意報~


 鴨井荘司、33歳。
 デザイン部門部長。
 180センチを有に越える身長に端正な顔の造り。
 ブロンドの癖毛に琥珀色の瞳、均整のとれた鍛えられた体躯は、オランダ人ハーフの祖父、そのクォーターの父、更にロシア人の母をもち、最早、名前だけ日本人のオランダ生まれオランダ育ちの人物だ。

 そんな異彩な親友と出会ったのは入社当初。
 瑞希の教育係になった荘司に、萎縮したのを覚えている。

 甘いマスクと日本人には骨格的に無理だろう、と思える鍛え抜かれた体。
 それはスーツを着ると異彩なオーラを放っていて、女性社員の熱い視線を集めていた。が、その容姿からは想像もつかない程、教育は厳しかったのだ。

 荘司は怒鳴ったりする事はない。
 ミスをするだびに、淡々と辛辣に失敗箇所と原因を、まるで実験結果のように静かに罵られるのだ。

 怒鳴られた方がスッキリする。
 しかし、完璧に罵られた後は、完璧なフォローと打開策を提示し、的確に瑞希を導いてくれていた。

 同期の中で、抜きん出て優秀と言われるようになったのは、教育が優秀だったからだ。


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