ダイブ


戻ってやり直したからって、上手くいくとは限らない。


もしどうにかなったとしても、私は多分、やっぱりここで飛び降りたと思うし。


「そうですか」


それは残念です、と言いながら、私に興味を失ったのが声の調子でありありとわかる。


「……ごめんなさい」


気付けば、謝っていた。


失望させて、ごめんなさい。

手間とらせて、ごめんなさい。

呟いた謝罪にも、一片の興味を惹くことはなかったらしい。


背を向け、どこかへ去ってしまいそうな彼に、私は思い切って声をかけた。


「あの」


「はい」


振り向いてくれないかと思った彼だが、足をとめ、すんなりと振り向いた。


「私は、死んだのでしょうか」

その言葉をきき、彼はゆっくりと仰ぎ見た。


つられて私も上を見る。


高層マンションの、屋上フェンスが見えた。


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