『短編』甲子園より、愛をこめて
「迷惑?」
不安げな表情を浮かべながら、わたしの顔をのぞき込む。
「めめめ迷惑じゃない。全然迷惑じゃないけど」
「けど?」
「信じられなくて」
わたしは手のひらにある思いのつまった小瓶を眺めた。
「三波さんにもらってほしいんだ。甲子園でも、三波さんに格好いいところ見せたいって思ってた」
「うそ……」
「まあ、負けちゃったんだけど」
そう言って、彼は恥ずかしそうに頭をかいた。
わたしは大きくかぶりを振った。
わたしに、格好いいところを見せたかった、なんて。
あまりに唐突で信じられなくて、何を話せばいいのか、よくわからなかったけれど。