や っ ぱ り 、 好 き 。

もらっていた合鍵で

部屋に入った。

部屋は真っ暗だったけど

人が居そうな気配はした。

寝ているのかなと思い

電気をつけないまま

手探りで靴を脱いで上がろうと

一歩踏み出したとき。

カツン、と何かを蹴った。


『あ、っと』


しゃがんで、それを触った瞬間、

血が逆流するような衝撃が走った。


ハイヒール。

女物の靴。

わたしのじゃ、ない。


心臓の音がうるさくなった。



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