処体験ガール(shotaiken girl)vol.5
「……ふぁ……佐…々く……」
「言えよ。なに聞いたって、手放したりなんかしねぇよ」
――なに、を?……
よくわからないまま、ぼんやりと見つめた視線の先に、
――……パパと、…ママ?
……が、見えた気がした。
アレ?いつの間に、また寝ちゃったんだろ。
これ、さっきの夢の続きだよね?
…って、思って、
でも、変なカンジ。
ママは微笑んでるんだケド……なんだかパパはちょっと不機嫌そうで……
ねぇ……ママ、
ママはパパと出会って、幸せだった?
すごく辛そうだったデショ?
剣菱のお家に行った帰りは、いつも酷く辛そうだったデショ?
問いかけたところで、夢の中のパパとママが、答えてくれるわけもなくって、
でも、夢だからこそ、
なんでもいいから返事が欲しかった。
ねぇ、パパは?
「剣菱」の跡取りだったのに……
ダメになっちゃったのに……
ママと別れたいって、思わなかったの?
「……佐々…くん」
吐息と一緒に、唇から名前がこぼれ落ちた。