全部、私からだった。
再び戻って来た谷口くんからは、ほんのりタバコの匂いがした。
谷口くんは、移動せずにそのままの場所に座っている私を見て、驚いた顔をする。
私が移動するきっかけを作るために席を外したのだと気付き、また切なくなった。
「いいよ、好きな場所に行って」
腰を落として胡坐をかきながら言い、谷口くんは笑った。
どうしてそんな寂しいことを言うの?
私のこと、気に入ってくれているんでしょう?
なんだかちょっと、腹が立って来た。