全部、私からだった。
「多恵、彼氏は?」
奈緒は会う度、第一声がこれ。今の私にとって一番嫌な話題。
私と奈緒は高校の時の同級生、そして親友。
そしてそして、同じ人を好きだった――
――時期も有り。
久々に二人でやって来た、イケメン店員が多いことで有名な居酒屋で。
乾杯直後の尋問のせいで、私の気分は一気に落ちる。
「いないよ。いるわけないじゃん」
ふて腐れながら答え、ビールのシュワシュワを一口すする。
苦いなぁ、もう……。