全部、私からだった。
「ねぇ、りっくん?」

いい加減、退屈してきた私は、その横顔に呼びかけてみた。



陸朗だから『りっくん』、素敵な呼び名でしょう?



けれども、りっくんは無視。まるで聞こえていないみたい。


というか、既に私の存在すら忘れているんじゃないの?



「りっくん! りっくん? りーーーーっくんっ!」


最後の大声で、ようやく私の存在を思い出したように、隣の私を見下ろした。


柵に両足を引っかけて身を乗り出しているもんだから、随分と背が高い。


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