全部、私からだった。
「駄目、呼び捨てで!」

「多恵」

「もう一回」

「多恵?」

「もっともっともっと」

「多恵、多恵、多恵、多恵……」



呼び捨てで名前を呼ばれるだけで、こんなにも体の芯部がざわめいて、

そして、こんなにも幸せな気持ちになるなんて。



私はこの人のこと、凄く、凄く、好きなのかもしれない。

そう思った。





≪名前で呼ぶのも私から≫


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