全部、私からだった。
「どうした? 多恵、和食嫌いだった?」

言われてりっくんへ視線を上げると、酷く不安そうな顔。



「ねぇ、ここ、すごく高いんじゃないの?」


恐る恐る問えば、たちまち顔の緊張を緩めて笑顔を見せ、


「心配すんなって、俺が払うから」

と、何でもないことのように言う。



「でも、いつもりっくんに払ってもらってばっかだし、なんか悪い……。私だって、ちゃんと働いて、お給料貰ってんだよ?」


「俺、あんま金使わねぇから、有り余ってんの。多恵のために使わせろって」


珍しく冗談なんか言ったりして。
 


本当にりっくんは優しい。

優しすぎて苦しくなるほど。


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