全部、私からだった。
下半身はりっくん自身に貫かれ、上半身は上半身で、耳や口、頬、胸と絶え間なく愛されて、本当にもう、気が変になりそうだ。


意識も記憶も何もかも、どこか遠いところへトリップしてしまいそう。



「りっくん、りっくん……」


何度も何度も名を呼んだ。

なんとか意識を保つために。この甘美な営みを手放さないように。



「多恵、愛してる。

お前以外、何もいらない」


そう囁いてりっくんは、唇に長い長いキスをくれた。


< 64 / 118 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop