全部、私からだった。
私たちは結局、床の上で全てを終えた。それも、ベッドのすぐ横で。


我に返るとそれが妙におかしくて。

二人で顔を見合わせて笑った。



そして全裸で抱き合ったまま、飽きるまで床に横たわっていた。




「なぁ、多恵。こんなこと聞くのもあれなんだけど」

りっくんはそこで言葉を詰まらせる。


「何?」

りっくんの腕の中から見上げれば、よほど言い辛いのか、困り果てたように眉根を下げて私を見下ろしている。


「なんなの?」

少し苛立たしげな口調で先を促すと、
 
「その、唯一の相手と比べて、どうよ?」

ボソボソ小声で酷く言い辛そうに聞く。


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