全部、私からだった。
「いるのかよ? 誰? 誰?」

途端、隣の男性は食いついた。



まだ、誰が好みだとか、お気に入りだとか、そういった核心に触れる段階ではないのに、どうしてこのワイルドな彼だけ、言わされるのか。


理不尽じゃないか。



けれども彼は、そんなムチャブリに腹を立てることもなく、無表情のままスッと人差し指を突き出した。



その場の全員が、一斉にその指が指した先に視線を移す。


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