全部、私からだった。
そして、

「襲っても良かったのかよ?」

と、意地悪く笑って見せる。



「それは……」

思わず口ごもってしまうと、りっくんは可笑しそうに声を出して笑った。



「汗臭いだろ? シャワーしてくるわ」

言って、またいつものように、額にキスを一つくれた。



そして何気なく視線を落としたりっくんは、ようやく私の格好に気付いたみたいで。


私の身体に巻きついている肌布団を両手で勢い良く広げ、

「多恵、まだ裸? じゃあ、一緒にシャワー浴びるか」

肌布団を手放して床に落とし、私の身体だけを軽々と抱き上げた。


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