monopolize
「付き合ってないんだよね…」

『は?マジ?』



笑ってたかと思ったら、急に真面目な顔をしてあたしを見る。

その瞳は、驚きと心配が入り混じっている様に見えた。



「そんな目で見ないでよ…」



恭汰もあたしをバカだと思ってんでしょ?

それとも、軽い女だって軽蔑する?



『俺と付き合わない?』



恭汰にはさっきから驚かされてばかりだ。

何を言い出すのかと思えば、付き合わない?…ね…。



「冗談止めてよ…」



可哀想な女だと思った?



『本気だけど?』



“ずっと好きだったんだよね…俺”



真っ直ぐ見つめる瞳は揺らぐ事無く、ジッとあたしを捉えたまま。

今まで意識した事無かった恭汰が、急に男に見えた。



「ごめん…」

『俺だったらあんな顔させないけどな…』



フッと口角を上げた恭汰は“辛くなったらいつでも来て”そう残し去っていった。



「ありがと…」



嬉しいけど、龍二じゃなきゃダメなんだ。

どーしようもないの。

あたしの心と体が求めるのは、龍二だけだから…。



ベンチから立ち上がると、あたしは恭汰と逆の方へ足を進めた。


 
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