お前に全て、奪われた。 Ⅰ
Ⅰ
この季節になると、思い出す。
金髪の髪と、金色の瞳をした綺麗な少年
を。
あの人はまだ覚えているだろうか?
あの人は私と言う存在を…覚えているのだろうか?
そんな事を考えながら椅子に座り
窓の外を見ているとあの小さな少年がまた顔を出した。
すっと立ち上がり、窓を開ける。
「ヒロくん。こんな所に一人で来ちゃ危ないってこの前も言ったでしょう?」
私は何度も注意しているというのに
少年は嬉しそうにお世辞にも綺麗とは言えない雑草交じりの花を手に抱えながら言った。
「お姉ちゃんにどうしてもプレゼントしたいものがあったから来ちゃった。」
ヒロくんは決まってそう言った。
私の部屋には沢山のヒロくんのプレゼントコレクションがあるくらい頻繁にプレゼントを持って来る。
「ふふっ、外は寒いから取り敢えず中に入って下さい。」
「うんっ!」
窓を閉めて玄関に向かおうとすると
ドタバタと走る少年の足音が聞こえ思わずクスリと笑ってしまった。