お前に全て、奪われた。 Ⅰ
ドアを開けるとプレゼントをパッと放して私の胸にヒロくんが勢い良く飛び付く。
「わっ、こんなに身体冷たくなっちゃって…。今日はココアで良いですか?」
「うんっ!!マショマロも入れてね!」
「ふふ、ほら早く中に入って下さい。」
先にヒロくんを中に入れて
ヒロくんがすっかり忘れたプレゼントを拾い、私も部屋の中へと入った。
暖炉の前に置かれている私のお気に入りの椅子に座らせて
注文通りマショマロ入りココアを渡す。
「お姉ちゃん、僕お姉ちゃんにお願いがあるんだ。」
ココアを一口飲んでから
ヒロくんは真剣になってそう言った。
「ここ、痛いの……。」
ヒロくんは腕を捲って見せた。
青黒く変色した無数の痣。
「酷い…また、こんなに沢山…ちょっと待ってて下さいね。」
私は救急箱を取りに別室に向かった。