お前に全て、奪われた。 Ⅰ
「…ゾッとするくらい綺麗な人。」
暫く見つめていたけれど、何だか見ているだけじゃ勿体無い気がしてその人に手を伸ばした。
シュッと綺麗な弧を書く輪郭をなぞる。
高い鼻へ、頬、そして唇に順にそっと触れる。
これじゃあ私、変態みたい。
そうは自覚してもこの人が寝ている事を良い事に次は首筋を撫でる。
「んん…」
寝返りを打つ。
…わわ。
驚いて一度は手を引っ込めるが、寝返りを打つことでペラっと服が捲れ引き締まったお腹が見えてしまった。
どうしよう、触ってみたい。
「少しだけ…」
ペタッ
少しだけとか言いつつ、結構大胆に触ってしまった。
「うわぁ…、凄い。」
程良く締まる初めての筋肉に私は感動して、そして調子に乗ってペタペタ触る。
「……って、私、何やってるんだ…」
今更我に返った私は直ぐに手を引っ込めようとした。
……が。