お前に全て、奪われた。 Ⅰ
「知り合いの医者に任せてあるから大丈夫だ。」
「そうですか、それはとても安心ですね。本当に助かりまし…た。」
…とは言ったものの、やっぱりヒロくんの容体が気になる。
そんな私の気持ちを見透かしたのか、
「…会いに行くか?」
と、優しく私に尋ねた。
「はいっ!」
そうして、出掛ける準備を始めた。
「…メガネ。」
「あ、有難うございます。」
ベッドサイドに置かれていたメガネを手渡された。
「…俺以外の前で外すなよ。」
「…?え、っと、はい?」
「…ぜってえな。」
何故か何度も何度も念を押された。