お前に全て、奪われた。 Ⅰ



私の視線を何か勘違いしたのか、




「…着替えさせて欲しいのか?」




と、真剣に言われて私はしどろもどろになりながら『遠慮しておきます!』と少し大きめな声で言った。





「あの、着替えたいので…部屋を」




お借りしたいのですが、と私が続きをいう前に部屋を静かに出て行ってしまった。


…早く着替えないと。


私は早速渡された服を広げて見た。




「…うわぁ…」




レース素材の白ワンピース。


し、白なんて…、絶対似合わないよ…。


今迄黒しか着たことが無い私にはレベルが高過ぎる…。



どうしよう、どうしよう。そう、クヨクヨ悩んでいるうちに大分時間が経ってしまった。




「…大丈夫か?」




あまりにも遅い私にドアの外からは心配そうな声が聞こえた。


どうせ、黒のマント上から羽織るし…問題無いよね。


無理矢理自分を納得させて、ガバッと勢いに任せてワンピースを着てしまった。










< 43 / 70 >

この作品をシェア

pagetop