最愛〜最高の涙を君と…〜





「めんどくさいよね女って。付き合って何がしたいんだろ」



いきなりボソッと
喋りだした一ノ瀬颯。



「え?」

「お互い良い思いしてそれで充分じゃん。なんで一人に絞らなきゃいけないんだろーね」




…………根本的に
ひねくれてるよこいつ。




「本当に人を好きになったことないんだね」

「俺は女の子はみんな好きだけど」

「そういうことじゃなくて…」




無表情で好きなんて
言える時点でそれは違う。

………と思う。




「大抵の女は1回やったら他の女とやらないでって言う。束縛とかそういうのめんどくさい」



めずらしくたくさん喋る颯。



「あんたも好きな子ができたら分かるんじゃない?その気持ち」

「ふーん、そんなもんなんだ」



それからあたし達は
何も話さなかった。





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