最愛〜最高の涙を君と…〜
「俺が送ってあげてんの」
颯の匂いだ。
シトラスの…
この匂い落ち着くんだよね…。
って、なしなし。
今のなしだから。
「一ノ瀬…」
瞬が驚いたように呟いた。
「おい、一ノ瀬。はなれろよ」
翔君が颯を睨みながら言った。
あたしは今、颯に
後ろから抱きつかれている。
「あれ、佐々木?麗と知り合いなんだ?」
颯はあたしを抱きしめたまま。
「まーな。いいからその手どけろ」
「…ふーん」
颯はあたしから離れて
また学校とは反対方向に
歩いて行った。
その後姿を見ていると
立ち止まって
あたしの方に向いた颯。
「麗、今日も放課後昨日のとこね」