最愛〜最高の涙を君と…〜
あたしの部屋の前で
誰かがウロウロしていた。
暗くて顔はよく見えないけど
体格からして男だろう。
「瞬?翔君?」
「………」
一瞬その男がこっちを
見た気がした。
顔はよく見えなかったけど
瞬でも翔君でもない。
「だ、れ?」
その男はあたし達に気が付いたようで
走って階段を駆け下りてきた。
「知らない人?」
颯がそんなこと言ってるけど
あたしは何も答えられなかった。
知らない男が自分の部屋の前で
うろついている。
体験したことのない現実に
あたしは戸惑っていた。
男は顔を下に向け
あたし達とは反対方向に
走っていった。
「何あいつ。麗の、知り合い?」